「川平法」 脳梗塞に特化したリハビリ

2025.01.10

川平法(促通反復法)


◼︎概論

川平法は脳梗塞に特化した治療手技で、脳梗塞の後遺症である片麻痺(あるいは四肢麻痺)の方に大変有効です。

「川平法ってどんな治療方法?」といった疑問に対してや
「川平法 やり方」と検索している方へ、ごく簡単に説明すると
「できた!」「動いた!」と、脳神経に何度も思わせる治療手技です。

どんな事をして脳にそう思わせるかと言うと

①治療者が麻痺した体を動かす
②治療中の動きを言葉にする
③低周波(電気刺激)で筋肉を動かす
④タッピングをする(軽く叩いて筋や腱を刺激)
⑤非麻痺側でも同じ運動をする

このような手段で、脳神経の再建を図ります。


◼︎もう少し詳しく

上記の内容を項目ごとにもう少し詳しく解説します。

①治療者が麻痺した体を動かす
人本来の動きとされる、原始的かつ解剖学的に自然な動きに基づき、患者側が無理なく楽に感じる運動をサポートします。それに加え伸長反射と呼ばれる反応が起こるよう、特殊な動かし方をします。反射は本人の意思とは関係なく筋肉が動く反応です。本人が動かしにくいと感じている部分(手指のこわばりなど)に伸長反射を起こします。

②治療中の動きを言葉にする
普段から「手を伸ばして」て言われたとき、体が動く前に脳でその動きをイメージします。それだけでも脳神経の再建に繋がります。
脳は「経験した事」しか覚えません、また体を動かしているのは主に脳神経です(反射は除く)。体で出来るようになる前に、頭で考えイメージが出来るようになる事が必要です。

③低周波(電気刺激)で筋肉を動かす(※1)
達成したい関節運動に必要な筋肉が動くように、治療機器を使用し電気刺激を送ります。例えば、手指がこわばり握った状態から力が抜けないのであれば、指を伸ばす筋肉に電気刺激を与えます。

④タッピングをする(軽く叩いて筋や腱を刺激)
電気刺激と同様に、治療者からの刺激で筋肉を動かします。筋肉を触れたり叩いたりすると、収縮する反応が見られます。腱反射(※2)と呼ばれる、腱(筋肉の端、骨と筋肉の境目)の反応などがそのひとつです。

⑤非麻痺側でも同じ運動をする
右脳と左脳から繋がる運動神経は、錐体と言う部分で交差(交叉)して左右の体を動かしています(※3)。その一部は交差せず、同側の体に向かって分布し、手足を動かします。つまり、非麻痺側を動かす事は麻痺側の運動を促しています。

◼︎KMPでの川平法は
KMPでは川平和美先生に直接指導を受けた作業療法士が施術をします。
東京都渋谷区の川平先端リハラボにて講習を行なっていましたが、現在休止中に加え、当時も岡山県など遠方からの受講は困難した。KMPは治療技術の習得のため、長年関東に拠点を置き、都内で様々な研修を修了して来ました。岡山県で川平法の実技講習を修了したセラピストは、非常に少ないです。
我々作業療法士は研究者ではありませんが、効果ある研究や治療を伝達することはできます。川平和美先生もそれを望んで、我々セラピストを育ててくれました。
作業療法士は医療・福祉で力を発揮するセラピストです。日々研鑽を積み、対象者や活動する地域に必要なコトやモノを届けます。川平和美先生から学んだ促通反復法はその一つです。


◼︎効果は?

医療の業界において、医師以外は診断が出来ないため「治るの?」と言った質問に対して明確な返答は出来ません。しかし、これまで治療して来た方、全員に結果が出して来たのが川平法です。

・6ヶ月の壁、本当?
病院や施設の医師やセラピスト等の治療者から「発症後6ヶ月を過ぎると回復が難しい」と言われた方は多いと思います。これは一部の意見であり、その意見の元とされる情報は古いものと考えます。また、効果を出せる技術を持たない治療者の意見かもしれません。
「発症直後の治療が重要」と言われた方も多いと思います。急性期は自己治癒力も強く現れ、そのタイミングでのリハビリは効果が出やすいのは確かです。
しかし、自力が弱まったり発揮が困難になった時こそ、我々プロの出番です。川平和美医師の研究対象になった症例は、発症後数年経った方が多く、そして結果を出していました。発症後6ヶ月を過ぎたからと言って諦めることはありません。

・施術中や施術後の経過は?
KMPによるリハビリで一番大きく変化した方は、ブルンストロームステージ1から3。無動から随意的な集団収縮が起こせるようになりました。その方は発症後4年以上経過していました。
他の症例では、発症後10年、腕のこわばりが続き筋や腱が短縮してしまったと思われる方がいました(肘関節伸展110°、肘が真っ直ぐに伸びない状態)。その腕は川平法での介入後すぐに変化があり、限りなく真っ直ぐに近いくらい腕が伸びるようになりました。

外部リンクにてブルンストロームステージを紹介
https://co-medical.mynavi.jp/contents/therapistplus/career/useful/12186/

ステージを上げるためには、そのボーダーラインとなる動作が十分に可能になる必要があります。手足の細かい動きを分かりやすく6分類にしているため、ひとつのステージ内での機能や出来る動きには幅があります。そのため、ステージをひとつ上げるだけでも大変な道のりです。
ステージそのものが変わらない人でも「麻痺側のこわばりが軽減された」「痛みがひいた」「歩きやすくなった」と、主観的変化はほとんどの方に起きています。

もちろん客観的に、ご家族等の周囲から「できる事が増えた」「姿勢が良くなった」と客観的な評価も得ています。
※施術の実例は「お客様の声」でも紹介

◼︎KMPの強み①
KMPでは川平先端リハラボで使用している治療機器と同じ物を扱って施術しています。低周波治療器は珍しい物ではありませんが、安価ではありません。リハビリに用いて効果を証明できるセラピストがいなければ「扱い切れない」と導入されません。取り扱う施設が稀にありますが、セラピストが川平法を知らなければ、提唱されている効果あるリハビリを受ける事が出来ません。筋肉をほぐしたり、リラックスを目的とした使用方法もありますが、効果ある治療に向けて扱うためには知識と技術が必要です。


◼︎KMPの強み②

KMPでは川平法にMATを組み合わせた施術が受けられます。

※MATってどんな施術?
MATはブルンストロームステージ5以上であれば、施術の対象になります。理由は、MATは筋肉を細分化、個別に動かす施術手技だからです。運動麻痺と言うのは、分離運動が困難な状態がほとんどで、筋肉を集団でしか動かせない状態です。
※ブルンストロームステージで再度確認
https://co-medical.mynavi.jp/contents/therapistplus/career/useful/12186/

川平法は運動麻痺が強い人、強い部位に効果的です。
麻痺が軽度の人、麻痺がない部位にはMATでのアプローチが出来ます。
つまり川平法にて運動麻痺が回復し、分離運動が可能になってくると、MATによる回復に向けて継続した施術が可能です。
また、麻痺側を支える非麻痺側に対するアプローチも同時に、MATにて行うことが出来ます。非麻痺側に力を込めると、麻痺側にも力が入りがちです(連合反応、共同運動)。MATによるアプローチは、非常に低負荷で麻痺側の力みを誘発しにくい施術手技です。非麻痺側へのアプローチで、麻痺側の変化を起こす事も可能です。
そもそもリハビリ自体は「運動麻痺を改善する事」と同時にその先にある「生活の困難や障害を解消する事」を目指しています。麻痺側に限らず全身にアプローチする必要があり、KMPではそれが出来ます。

◼︎最後に
保険下で安価にリハビリを継続する手段がほとんどです。
その環境で治療方法を選べていますか?
治療者からどんな説明を受けていますか?
担当はどこでどんな勉強をしてきましたか?
今はリハビリを含む医療に関する情報は簡単に調べることができます。脳梗塞の後遺症、運動麻痺に悩んでいたらまず知識を得ることから始めてください。疑問があればお問い合わせにてご連絡いただければお答えします。

引用
(※1)持続的電気刺激の併用によって促通反復法の効果を促進する可能性があることを示した
川平和美.医学書院.2017.p24
(※2)素早く目標の筋を伸長して伸長反射を起こし、筋への神経路の興奮水準が高まった直後に、その筋の収縮を命じる
川平和美.医学書院.2017.p41
(※3)ごく一部のニューロンは錐体交叉で交叉せず同側の脊髄前索を通る
尾上尚志、他監修.病気がみえる.メディックメディア.2014.p167

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