「MAT」 他とは違う考え方の施術

2025.01.10

MAT:Muscle Activation Techniques




◼︎体を正しく扱う・動かすとは

例えば、耳を上下にクイクイと動かせる人が稀にいます。その人は、その動作を行う「筋肉と神経の繋がりがハッキリしている」から耳が動かせます。どのように体(筋肉)を使えば、耳が動くのかをわかっています。
耳に限らず、自身の動作全てに対して筋肉と神経の繋がりを理解するのは困難です。そのため、健康的に体を動かしているつもりでも、扱い切れていない部分が出現してしまいます。
体を動かす時、神経と筋肉の繋がりを感じられていますか?MATは「筋肉と神経の繋がりをハッキリさせる」施術です。


◼︎「MAT:Muscle Activation Techniques」の考え方

他の治療院、治療家の考え方、治療手技とは全く違ったMATと呼ばれる施術の特徴は下記の通りです。

筋肉が凝り固まる事は自然な反応であり、それは「症状」のひとつである。
「原因」は目的に合わせて活動していない筋肉があることである。
姿勢保持や動作遂行により特定の筋肉を凝り固まらせてしまうのは、一種の防御反応(※1)。
その必要がないと体が理解し正しく筋肉を活動させることが「原因」へのアプローチである。

MATではこのように考えます。つまり「凝り固まっている筋肉」に直接アプローチをしません。
アプローチするのは、目的に合わせて適切に「活動していない筋肉」です。
MATは不活発な筋肉を活性化する施術です。

https://muscleactivation.com

<例えば>
手を頭上に伸ばす動作を行う時、同時に働く筋肉が5つあるとします。その動作を遂行するのに必要な仕事量を合わせて100%とします。
同時に働く5つそれぞれの筋肉が20%ずつ仕事が出来れば、バランスよく動作が遂行できます(実際の筋の数や仕事量のバランスは動作により異なります)。
しかし、5つのうちどこかの筋肉の仕事量が20%ではなく10%と働きが不十分な場合、他4つのうちどこかが補うように働き動作を遂行しようとします。その時、足りない10%の仕事を担った筋肉が疲れたり凝ったり怪我をしたり症状が現れます。

簡単に数式で表すと以下の通りです
20+20+20+20+20=100 バランスが取れている→出来た!
20+10+30+20+20=100 アンバランス→出来てる?
20・・・正常な活動
10・・・ 不活発→原因
30・・・過活動→症状(凝り、痛み)

不活発な筋肉の存在が引き起こした、他筋肉の過剰な活動が症状として現れます。
凝り固まった筋肉が「自然な反応である」と考えるのはこのような理由です。

まとめると
・10%しか働いていない「不活発な筋肉」を特定し「活性化」を図る
・正常に働くようアプローチすると、不足分を担った筋肉の過剰な活動を抑えられ、症状が改善する
これがMATの考え方のひとつです。

過剰な活動により凝っていたり疲労したりする筋肉に対して、マッサージやストレッチを行う一般的な施術とは、考え方が真逆です。
不活発・機能が低いなどの特定の筋肉を活性化=Activaiton:(アクティベーション)するようアプローチします。


◼︎施術内容は

不調の原因となる不活発な筋肉を見つけ出す評価とアプローチ、それがMAT。

施術の流れは以下の通りです
・初期評価:各種検査
・アプローチ:等尺性収縮(※2)
・再評価

神経や活性化と聞くと、複雑ですごい変化が起きてるように聞こえるかもしれません。実際のアプローチは「少し力を入れ」その筋肉の動きを「意識化する=理解する」だけの、シンプルな手技です。

施術がシンプルに行えるのは、細分化された評価(検査)がベースにあるからです。
一般的な医療福祉施設勤務のセラピストのほとんどが行う筋肉の評価は「徒手筋力テスト(Manual Muscle Test;MMT」(※3)と呼ばれる、ある程度グループされた運動、筋肉の活動を評価します。
MATは筋肉を個別に細分化し単一で評価します。なので原因の筋肉ひとつにまで絞り特定できます。
最初の例のように腕を上げる動作そのものは粗大運動です。腕を上げる事が出来れば、粗大運動としての問題は無いかもしれません。しかしMATでは筋肉を単一に評価するため、見た目や動作では気づかない不活発な筋肉の存在を明らかにします。
視診(見た目での状態)、可動域検査(動かせる範囲やその様子)、筋力検査(発揮できる力の加減)など、様々な評価を丁寧に行うことで原因が特定でき、施術がシンプルになります。リモートで施術が出来るのもそのためです。


◼︎その他特徴

特徴①
「腰が痛いです」との主訴に対して「腰ですね」と言って腰にアプローチする事はまずしません。本人が自覚しているのは「症状」であり、プロが担うのは「原因」を特定し、改善する事です。
MATは全身を細かく評価するため、痛みなどの症状のある部位にほとんど触れず、原因にアプローチする事があります。そのため体の負担も少なく済む場合が多いです。
例えば「四十肩で腕が上がらない、動かすと痛い」と言った場合でも、肩関節を動かさない手段を取れば、ストレスなく施術を進められます。最後まで肩に触れず腕が頭上まで自由に動かせるようになった症例は何件もあります。

特徴②
整体院のように骨をボキボキ鳴らすような施術も一切行いません。よく耳にする「〇〇矯正」の様な事も、特定の筋肉を活性化することで可能です。骨の位置関係やバランスは筋肉が構成しています。骨に直接刺激を与えずとも、その構成には変化を起こせます。なので、骨が弱った高齢者、妊娠中の方、誰でも施術が可能です(脳梗塞後の運動麻痺が強い手足には条件があります)。
激しい運動は行わないので、運動制限がある方にも施術が適応したケースがあります。例えば、粗大運動だと運動量が多過ぎるためにリハビリが困難な方には、細分化された最小限の動きで負担を減らすことでリハビリが実施できる場合があります。

特徴③
MATでは活性化を図るため、マッサージやストレッチのような、筋肉をほぐす事・緩ませる事は基本的にしません。リハビリを提供する作業療法士は「活動に適した体づくり」を目的とした治療者です。リラクゼーションが主な目的ではありません。
そもそも、凝り固まった筋肉が自然な反応(防御性収縮)である場合、それをほぐしてしまえば防御機能がなくなることになります。体が必要と判断し起こした反応を強制的に取り除くことは、根本的な治療とは考えません。
もちろん運動学、解剖学を理解しているので、KMPでもリラクゼーション目的のマッサージやストレッチ等の施術も可能です。必要だと判断し実施する場合もあります。
ただ、KMPは
「マッサージに通い続けている」
「接骨院でマッサージしたり引っ張ったり、温めたりして、通っている」
「整体院に行って様子を見ましょうと言われた」と言って、いつまでも不調が改善できない方に選ばれています。
これまでアプローチして結果が出た疾患や症状は
・脊柱管狭窄症
・腰椎椎間板ヘルニア
・ぎっくり腰(急性腰痛/腰椎捻挫症)
・慢性腰痛
・肩こり
・四十肩
・むちうち
など、その他筋肉や関節の痛みや不調に対して幅広く対応してきました。


◼︎最後に

いわゆる治療院難民、治療院巡りをして体を良くしようとしている人のほとんどが、マッサージ等「筋肉をほぐす・緩める手段」を選び、それを繰り返しています。
筋肉が凝り固まっている「原因」ではなく「症状」にアプローチしていては、当然同じ事が繰り返されます。
凝り固まった筋肉をほぐし緩めても、それは体の「自然な反応」であるため、すぐ元通りになります。

改善を諦めている人、症状と長く付き合ってる人、他の治療を探している人、治療者の「続けましょう、通いましょう」に疑問を持つ人、MATによる施術はその様な人たちを驚かせて来た治療手技です。

(※1)患者の可動域訓練時に発生する不随意な筋収縮(防御収縮)
斉藤秀之・加藤浩.筋緊張に挑む.2017.p24
(※2)筋繊維の長さが一定であれば等尺性収縮 isometric contraction と呼ぶ
内田淳正.標準整形外科学.医学書院.2012.p63
(※3)MMTは関節とその運動方向で規定さてた検査であり、個々の筋の筋力を検査する方法ではない
斉藤秀之・加藤浩.筋緊張に挑む.2017.p6

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